--- h i n d s i g h t それは冬のある冷えた朝の事。 「あ、おはようございまふ」 食堂に行ってまず目が行くのは3、4人分のスペースを皿で埋め尽して食事をしているアレン。 けれど今日は、何かが違う。 「あンれー、アレン量少なくねぇ?」 何時もなら山積みになった皿が今にも崩れそうになっているのに 10枚程が重なっているだけで、それでも常人には十分過ぎるのだけれど。 「いえ、ちょっと食欲が」 その言葉に内心、明日は雨か霰かとも思ってみてふと見た皿の上に乗っているのは、酢物やコルスロー、マリネに酢豚など デザートだろうか、レモンのシャーベットまである。よく見れば全てが酸っぱい料理。 これは、もしかして……いや、あり得ない。 だってアレンは男だし、まぁ女でもイケるけどね、そんな事は置いといて。 そう言えば昨日も一昨日もその前もその前も前も、断られてる。眠いからとかダルいからとか、疲れてるだとか言って。 まさか、まさか 「アレン………、デキたの?」 「…はい?」 返って来たのは呆れた声と表情で、実に不可解極まり無いといったその声色は、きっと俺がそう判断した経緯を知りたがってるのだと 「だ、だって、」 「いいです聞きたくありません」 予想は外れたらしく両手で牽制された言葉、 寄生型のイノセンスが宿っているアレンの身体ならばもしかして万が一でも億が一でもそんな事があるのかも、とか 「名前はエリスが良かったさ!」 悔み切れない。 何がって、昨夜、師匠の夢を見てしまったせいで食欲の出ない今の自分と 最近、行為を断っていたのは疲れが溜まっているからで、ラビに悪いと思っての事だと言うのを躊躇っていた自分が。 「…女の子前提ですか」 * * * 2005/10/26 |
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