--- e x c u s e







「ユ――ウ――ちゃん!!」




…………出た。


「えー、そんな肘鉄かましながら深ーい溜息吐かないでほしいさ」


言いつつもしっかり防がれたので気分が悪い


「煩ぇ去れ」


「酷…ッ、それが任務から帰還した恋人に言う言葉!?」


ちゃっかり腕を引き寄せられて唇を掠め取られて


「ば…っかお前ここを何処だと思ってんだ!!」


そこは廊下、神田の部屋の前


「じゃあ部屋入れてー」


返事も聞かずドアノブを回すあたり、図々しいの代名詞かコイツは


「誰が入れるか。俺は今から鍛錬に行く」


後ろから頭を掴んで引き剥がす、が


「運動なら俺が相手してあげるさー。だから、ね?」


逆に腕を取られてドアとの間に挟まれた


「黙れ。退け。逝け」


両耳の横にある手には指を絡めて押し返す


「素直じゃないなー、ご無沙汰で溜まってるっしょ?」


何て下世話な奴だ。無遠慮に軽蔑の目を向けながら思う


「それ自分の事だろ。俺は関係無ぇよ」


そう言って目を伏せた途端、左耳に熱いモノ


「…っ、よせ」


身を捻ると、今度は首元で吸われる感覚


「盛ってんじゃねーよ、…入れ!」


それは決して、その行為を許した訳じゃない


「え、ヤる気になった?なっちゃった?」


廊下の暗闇から微かに足音が聞こえたから


「触れるな話し掛けるな」


肩に置かれた腕を払って、多少なりとも紅潮した頬を背ける




ああ、もう
目を合わせたらダメだ


「それじゃ、ずーっと見つめててあげるさ」


睨んでもダメだ
今のコイツには、今の俺では逆効果だから


「こっち向いて?ユウ」


「…俺は身体を動かしたいだけだ」





それだけだ








* * * 2005/7/9

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