注)ラビュの花魁パロです。
  すごく報われてませんし初っ端から性描写有りなので、苦手な方はブラウザを閉じて下さい




















■ colorless world ■


















肌寒くて身を捩ると、冷たい指先に胸を摘まれた。

無遠慮に反応を返す自分の身体には最早何の感情も起こらず、神田は一つ熱い息を吐いた。
昔は吐き気がするほど嫌で死ぬ方がましだと思っていたこの行為も、生かされて今、こうして続けているのだから馬鹿らしい。
所詮、男同士のこれに気持ちなど伴わず、ただ酔狂な客は、平らな胸を狂ったように舐めまわす。

「…っ、い」

碌に慣らされもせず捻じ込まれた塊の熱さに、痛みより先に奔った別の感覚は卑しい見返り。
狭い場所を埋められて、すぐ動くのかと思えばこの客は、中のあまりの熱に顔を顰め必死に絶頂を堪えているらしい。
それは余りにも滑稽で笑いすら込み上げて来る。

けれどこのままでは夜が明けてしまう。今夜はもうこれで3人目だ。
早々に終わらせよう、そう決めて一度腹に力を入れると、呆気無く中に飛沫を飛ばされた。

溜息と共に卑下た笑みを向けられて、胸の奥がずしり、と重くなる。
自分の熱がどんどんと下がっていくのがわかり、ああまたか、と目を閉じて。

「ぁ…、っん…ぁ、あ」

口を突いて出るシラけた甘い声に、確実に男は動きを荒くしていく。

(まったくなっちゃいねぇ)

顔にかかる酒臭い息に鼻を摘みたい気持ちになりながら、神田は必死に客を自分のポイントへと誘導する。
不規則に、欲のままに動き回るそれを捕まえるのは至難の業だ。
眉を寄せて視線を彷徨わせる表情に一層熱を上げた客を反射的に締め付けて、神田は自身に手を伸ばした。
心の中で舌打ちを零しつつ、自分の事で精一杯な男の下でぎりぎりまで高めていく。

「ん、…も、ぁ、っああ!」

客が果てる瞬間を確認してから、身体中の力を一気に抜いて息を吐く。
ずるっ、と抜かれた塊と蓋を失って飛び出た液体に、身震いして布団を手繰り寄せる。

「じゃあ、湯殿を使わせてもらうよ」

軽く着流しを羽織った客は、そう言って障子の向こうに消えた。





「お疲れさん、今ので最後だ」

少しばかり身を整えた後、自分も薄桃色の着物を纏い、帳場まで来て客を見送った。
貼り付けていた笑顔は、その声を耳にした途端消え失せて、振り返って反吐が出そうになる。
格子に囲われ労いの笑みを向けてくる浅黒の肌に左目の黒子、一番忌み嫌う人物がそこに居た。

「今日は、だろ」

嫌悪を露にした声色に、一層笑みを深くした番頭から視線を逸らせ、重そうに腰に手を当てる。
少し捻ると骨の軋むのが感じられて、やはり吐き気がした。

「寝る」

短く一言置き捨てて、嘔吐感を遣り過ごそうと、寝床へ向かう。
後ろから掛けられた挨拶の言葉は、神田を不機嫌にさせるばかりだった。





先程まで懇ろに使っていた自室の前に立つと、中に誰かがいるのが雪洞の光に影って見えた。
スパン、と勢いよく開けた襖の向こうに居た人物に、神田は素早く息を呑む。
紅い髪を垂らし右目を隠すその男は、汗と白濁で汚れた布団を運び出していた。

「あ…悪い、すぐ終わるから」

申し訳無さそうに向けてくる、その表情に神田は心臓を握り潰されたように苦しくなる。
何か声を掛けたいのだけれど、散々動かされた舌は疲弊して呂律が回らない。
それだけではない無言の理由に気付いていない筈は無いけれど、認めるのが怖かった。
いつの間にか乱れていた呼吸を整えながら、神田はそっと障子を閉めた。

「冷えるだろ、掛け布団厚いのにしとくな」

いそいそと襖の奥から干された布団を出し広げる男をまっすぐ見ることが出来なくて、俯いて一つ咳をする。
嗄れた声は、聞かせたくなかった。

「…まだ仕事、あるのか?」

ゆっくりと、発した声はそれでも少し掠れていて、聞こえただろうか、不安になる。
返事を待つこの沈黙が嫌で、神田は恐る恐る顔を上げた。
すぐ目の前に立っていた男に、また息を呑んで、伸びて来た腕に肩を窄める。

「この布団洗ったら休めるよ」

空気のように頭に乗せられた手に、硬くしていた身体からやっと力が抜けた気がした。
溜めていた息を吐いて、同時に熱くなった鼻の頭を男の胸に擦り付けて。
汗の滲んだ背中を摩られ乾燥した髪を梳かれると、引き攣ったように目が開けられなくなる。

「湯でも浴びておいで」

労るように囁かれて、離された身体の向こうに見えた皺の寄った布団に、身体全部が強張った。
そのまま一人残された桃色の雪洞が灯る部屋で、天井を仰いだ神田は目を瞑って敷かれた布団に倒れ込む。
ぱりぱりの髪も、内腿を伝うものもどうでもいい。

ただ、どうか、どうか伝わっていて欲しいと、それだけで胸がいっぱいだった。





「ラビ…」

おさまらない吐き気に顔を覆った腕の間から、障子の隙間に射す朝陽の眩しさを眺めて
終りの無い地獄で未だ生き延びている、そんな気分で神田は深く息を吐いて意識を手放した。
もうどれくらい夢を見ていないだろう。






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謝る事しか出来ませんごめんなさいごめんなさい…。
ある方の花魁ラビュにどうにも萌悶えてたまらなかったんです
因みに題名の和訳は【くすんだ浮世】、何この無理矢理感!(…)
こんなわけわからんもの書いてしまってあぁぁああすみません…!!

2006/11/4















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