その髪も、

瞳も、

唇も、

腕も、

何もかも、

全てを自分のものにしたい






















■ monopoly ■























「いい加減、諦めたらどうです?」


いつもの、まだ幼さを残す声からは想像もできないような

低い、情事特有の少し湿った声で囁かれると

それすらも耳から中心部へと快感は伝えられて

身震いしたいほどのこの感覚を

けれどやりすごせずに、ただ声を殺して頭を左右に振るだけ

身体を這う手と唇が、どんどんと自分を追い詰めていく


「…っ…黙れ!」


咽喉から搾り出した抗議の声も

嬌声交じりなのがよくわかる

身体を捻って逃れようともがいたのも始めのうちだけで

後はただ、耐えるだけ




話がある、と俺の部屋に勝手に入ってきたこいつが何故、

そんな事も今は考えてなどいられない

少しでも気を抜いたら

少しでもこの快楽に溺れてしまったら

きっと自分は堕ちてしまう












「素直に、欲しい、って言えばいいんですよ」


それだけの事なのに、と、さも哀しそうに呟く

後ろからの声の主は今、どんな表情で俺を弄んでいる?

きっと笑っているだろう

それとも本当に哀しそうにしているだろうか


「……ぅ…ッん、くっ!」


他の事に考えを馳せていたら

それに気付いたのか根元を千切れるほどに握られた


「駄目ですよ、集中して?」


そしてまた、耳元で囁かれる

芯の痛みと、その比ではない快感に自身が震える


「離…、っん!」


言い終らないうちに耳に侵入してきた舌で言葉は止められ

予想以上の快感に、脚ががくがくと悲鳴を上げている

立ったままの状態だと、自然と腰が密着してしまうことが恨めしい

触れているこいつの熱が布越しに感じられて

後ろから掴まれた自分は、それに触発されて更に熱を上げていく












「ねぇカンダ、気持ちいいんでしょ?挿れて欲しいんですよね?」


答えられる状態でないのをわかっていながら

こいつは俺に言わせたいのか

「欲しい」、と


「誰が……っ、てめぇなんか…う、あ!」


再開された指の蠢くような動作に翻弄されて

意識はどんどん白濁としたものになっていく

















「あ、ぁ!…ッん、は…あぁあ、ひ……っ!」


手の動きはそのままで、後ろを這いずる舌に背をこれ以上無いほど反らせて

睨んだ天井さえもぼやけて見えて、頬を何かが伝った刹那


「うあ、ッ……あぁあアぁあああっ!」


先端を握り引っ掻く黒い爪と、突起を摘む細い指先と、

背中のチクリとした痛みに、意識は完全に持っていかれた

























腹に垂れる熱が気持ち悪くて、

しかしそれよりも口に挿し込まれた赤黒い指が


「ほら、カンダが汚したんですから自分で綺麗に舐め取って下さいね」


そう言って舌に押し付けられたそれは、苦くて吐き気がした

荒い呼吸を何とか整えるべく思い切り鼻で空気を吸い込めば

鼻腔を掠める精液の独特な臭いに歯軋りしたくなった

未だ口内にある指を、いっそ噛み切ってやろうか


「もっとしっかり舐めて、カンダ」


ほざくこいつのこの腕を、できる事なら掴んで投げてしまいたい

けれど後ろ手に縛られた状態では、抵抗ですらしてやれなかった















そして口内で動き出した指が、爪先が、薄らと微熱を生み出して

右手は止まらず胸を摩っていて、

折角逃した熱は、また腰にズシリと溜まっていく

そう、際限など無い

















「次は挿れてあげますよ」


胸焼けしそうな耳元での言葉に、無意識に唾を飲み込もうとすれば

口内からグチャリという卑屈な音が漏れて、

煽ってしまっただろうか


「ふふ、綺麗にしましたね」


言われた言葉にああ、やっぱり、と

こいつの熱を含んだ声は逆に俺を煽っていく











抜かれた指はそのまま後孔に伸びたのか

痺れるような感覚がそこに感じられた


「…っあ!」


いきなり3本押し込まれて、締め付けたところから熱は広がる

けれど潤滑剤の役目を果たす唾液と精液は、俺を助けているつもりか

痛みは殆ど伝えられず、その代わり膨張した欲望は再び俺を苦しめる































もう理性など吹っ飛んだ

執拗にナカを擦る指の動きは、何かを探るようであどけなく

緩慢なそれでさえ俺を窮みへと導いて、足りない、と体躯が悲鳴を上げる

そして本能で動いた腰が、性感帯を見つけてしまう


「………ッふ、あぁああア!」










「…ここ、ですね」


一層大きく跳ねた場所、そこだけを攻められれば

狂ったような刺激に止めど無い嬌声は部屋を満たす

咽喉が嗄れるまで、嗄れてもなお声は止まらない

快感に、溺れて

抵抗なんてものはしない





抵抗は更なる苦しみを、快楽を生むだけだから

それならもう、欲しがってしまえばいい












「ああぁあ…っ、んアあ…ああっあぁああ…ッ!」




いつの間にか後孔には、指とは比べ物にならないような質量が在って












ああ、もう

何もかもがどうでもいい

羞恥心など知らない、誇りも何も意味が無い

これもまたいつの間にか解放されていた腕を壁に押し付けて

この快楽の終わりのため、もっと、と欲する自身の為

堕ちていくんだ奈落の底へ












「…カン、ダ…っ」


後ろから廻された腕が、ナカで蠢く雄が、俺を捕らえて放さない




諦めて、欲するから




もう溺れてしまったから




俺も、お前を放せない

































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「独占」と「依存」がキーワードで、つしはから大分前に言われていたブツ。
こんなのになってしまったよ、 でも考えたらキスしてないよ。ごめん、すっごい楽しかった

2005/5/8










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